散文

カレンダーを意識しなくなって結構経つ。
「曜日で生きる」は「季節で生きる」に変わり、その感覚は一層研ぎ澄まされていくのだろうと思う。
面白がって、全てを音楽を創る土台に練り込んでいく。

新曲を大量に書きつけては濱ちゃん・嶋くんに送る日々。今冬タームは少し落ち着いてきた。
量を書く、そしてふとした瞬間に本当が舞い降りてくる。量やる意味が今は腹落ちしていて、若かった時分のやらされ感みたいなものは無い。自ら選ぶのだ。
そしてふとした瞬間の本当というのは、変わらず一瞬にして完成する。5分10分、その位か。書き切る、ということが尊さで、例え派手さはなくとも歌うという視点からは永遠なのだろう。その純度に到達したものが昔はよく分からなかったけれど、今はハッキリと分かる。生きている日々の中で、えげつない輝きを放つ。
濱ちゃん・嶋くんの反応も、実に分かりやすいというか、グッときているかどうかは滲み出てくるもので大体分かるようになってきた。もちろんデモ段階での反応が全てではないけれど、二人の取り組みへのモチベーションという意味では相当重要だと考える。
要するに、もっといい歌を歌いたい。それがなんなのか、もっと追求していきたい。ゴールはない。貪欲さ、熱量でいく。
併せて、目指すものは変わった。今は濱ちゃん・嶋くんがいる。たった一人で所謂名曲を創る必要などは無い。みんなで創ればいい。アレンジあっての楽曲、それを39才にして初めて本当の意味でやり始めている。
(本質的な意味合いで)ずっと一人でやってきた。苦しい時期もあった。何が大切なのか分からない時もあった。
でも今はミュージシャンとして自分なりに大事だと思うことで勝負していこうと思っている。
全ては変わっていく。気持ちだけはより鮮明になっていく。音楽が好きだという想いは変わらない。ずっと同じ話をしているような気もする。

●4月4日
ファーストアヴェニュースタジオにてスタジオワーク。引き続き既曲のリアレンジ、新曲のアレンジ、6月29日セットリストを渾然一体と前進。
そして前後するように大きめな意思決定を迫られる。甘えは許されない。仕事は大変だが、大変だから面白い。音楽の仕事は社会的に見てもちょっと特殊だと感じるのは、ここまできて尚その魅力に人生を見るのは、人がとことんやって、妥協することなくやり抜いて、その命の結晶みたいなものと出逢える瞬間があるからだ。だから僕は自分が関わるものには一切妥協しない。が、仕事なんだからとかなんとか理由つけて効率優先で正直妥協を許した時期もあったから、今はもう何がなんでも妥協はしないと決めているんだ。
鋼の心で、しかししなやかに。
まだまだやりたいこと、いっぱいある。この身一つで、やれる限りは力一杯目一杯。

春が、来た。
春は僕をちょっとだけおかしくする。身近な人々からおかしいと言われることもある。
僕はこのおかしさで突き抜けようと思う。
おかしさについてきてくれる仲間には感謝しかない。感謝だけがある。

最近またブラッドサースティ・ブッチャーズのドキュメンタリーを観た。
バンドって、チームって、最高だ。そしてそれを支持する皆様って最強だ。

残るんだよね、音楽は。
その残ったものを観た聴いた、そこからまた誰かの物語が始まっていくんだ。

僕がそのスタイルに強烈に影響を受けている曽我部恵一さんが歌うんだ。
「君がいないことは 君がいることだなぁ」って。
ほんとそれなんだよな。ない時の方が、よりあるなって、この歌詞に出逢った時に僕の中の価値観が全てひっくり返ったような気がする。それ以来自分の中の発掘に心を注ぐようになっていったと思う。出逢える感覚って、実はまだ沢山あるじゃん。そこ掘りまくったら、あるじゃん。

もうじき5月の風が吹く。